みなさんは「社会的養護」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。親などの保護者がいなかったり、適切な養育を受けられなかったりする子どもたちを、公的な責任で保護し、育てていくことを「社会的養護」と言います。
いわば、社会が親代わりとなって、子どもたちを育てていく仕組み。それが社会的養護です。
貧困や虐待、両親の不慮の事故・病気など、その背景はさまざまですが、日本には社会的養護を受けている子どもたちが、約4万5千人います。子どもが500人いれば、そのうち1人は社会的養護を受けている計算になります。
児童虐待相談対応件数の
推移
上記のグラフは「児童虐待相談対応件数の推移」となります。
20年前に比べると、相談件数は約15倍以上となり、虐待に悩む子どもが今もなお、増え続けています。
幼少期や青年期に虐待を受けたこどもは、成長して社会に巣立とうとする際にも厳しい現実に直面します。
成長過程でぶつかる
大きな壁
ケアリーバーの語源は、「ケア(care)を離れた人(leaver)」=社会的養護から巣立った若者を指します。
社会的養護とは、保護者のない子ども達や、保護者のもとで暮らすことが適当でない子ども達を、公的責任で社会的に養育し、保護するとともに、その家庭への支援を行うことです。
【社会的養護の施設等の一覧】
・児童養護施設
・乳児院
・児童心理治療施設
・児童自立支援施設
・母子生活支援施設
・自立援助ホーム
・ファミリーホーム
・養育里親家庭
現在、児童養護施設や里親など社会的養護のもとで暮らす子どもは全国に約4万2000人と言われています。
原則18歳で退所して自立に向かっていきますが、措置延長で最長22歳まで施設での生活が可能なケースもあります。
退所後は、一般企業に就職や大学や専門学校への進学、グループホームや就労継続支援などの活用と、一人ひとりに合った進路を選択することになります。
・退所時の貯金額に個人差がある
・親の経済的な支援が難しい
・家庭復帰できない場合もある
・身近に頼れる大人がいない状態での一人暮らし
このようなケースが多いのが現状です。
2021年に厚生労働省から公表されたケアリーバーの実態調査によると、自立生活を送る5人に1人が赤字生活を送っていたり、進学しても生活費と学費のためにアルバイトを多くするしかなく、中退率や退職率も低くはありません。
私たちは、支援団体や伴走者、地域の企業を繋ぐネットワークの構築を通して、彼らを同じ社会をつくる仲間として支える仕組みをつくります。